未来空想新聞

2040年(令和22年)5月5日(土)

未来空想新聞

2040年(令和22年)5月5日(土)

東京で1日限定アバターフェス開催

ケモノアバターがリアルに 渋谷や秋葉原をジャック!

モグモ

 アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」でキャラクターデザイン原案を手がけたイラストレーターのモグモさん。独創的な世界観が開花したのが、同人活動「KEMONO FABRIC TOKYO」。VR空間におけるファッションをテーマに、ケモノアバターで闊歩(かっぽ)する未来を展開し、多くのファンに愛されています。人を惹(ひ)き付けるクリエイションの出発点にあるのは、いつも「憧れ」だと言います。

 「こんな人がいたらとか、こんな世界があったらいいなとか。自分自身がこれだけ惹かれるのだから、好きになってくれる人がきっといる。そんな根拠のない自信から描きはじめるんです」

 そんなモグモさんは、エンターテインメントの未来をどう見つめているのでしょうか。テキストやデータから画像を生成するAIも注目を集めていますが、このまま技術が進化すれば、いつかクリエイターは必要なくなるのでしょうか?2040年、人間と技術の付き合い方を、モグモさんはこう考えます。

 「AIに頼りすぎると、便利な反面、すぐに技術に使われる側になってしまう。大事なのは、AIに文句を言ったり、ケチをつけたりすること。AIが出した回答に1%でも納得できない部分がある人は、徹底的にこだわって自分が100%満足いくものを創り続けると思う。技術が発展しても、創作のトリガーになるのは人の感情だと思います」

 技術が更に発展した未来に対しても想像が広がります。「VRが発展すれば、人々が一日の多くの時間をバーチャル空間で過ごす未来も考えられます」。KEMONO FABRICのファッションは既にアバターとして販売されていますが、「それがホログラムで現実の東京に出てくるようなことも、考えられるかもしれません」。

 独創的な想像力を武器に、魅力的な未来を想像し続けるモグモさんですが、自分の創作に自信を持てない時期もあったと言います。

 「僕は独学で絵を描いてきたため、自信が持てない時期が長かった。だけど、僕の描くものを愛してくれる人は確かにいて、創作に正解なんてないと痛感しました。SNSで高評価を得ている絵や、プロのクリエイターの絵だけが正しいんじゃなくて、自分だけの答えを出すことが、自分の強みや面白さにつながると思います。日々の生活の中で感じるちょっとした感動や、怒りなどの感情がインスピレーションになります。創作とは、そんな感情の動きを自分なりに伝えるということだと思います」

(聞き手・大阪大学大学院基礎工学研究科 佐久間洋司さん)

モグモ
MOGUMO

キャラクターデザイナー、イラストレーター。VR空間におけるファッションをテーマにした同人活動「KEMONO FABRIC TOKYO」で注目を集める。アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のキャラクターデザイン原案や、VTuberユニット「KMNZ」の衣装などを手がける。共著に『KEMONO FABRIC TOKYO モグモ Artworks』。

子どもたちへのメッセージ

創作に正解はないと信じてほしい。迷ったら、自分の心が動くほうへ。