小学生だって行政に参画
2005年生まれの川﨑レナさんは14歳のときに「アース・ガーディアンズ」の日本支部を立ち上げ、環境問題や人権問題に取り組んできました。その活動が評価され、2022年11月には、46カ国175人以上の候補の中から「国際子ども平和賞」を受賞しました。「受賞はスタート地点、これからの未来に贈られたのだと思います」
川﨑さんが社会課題に興味を持ちはじめたのは、教育環境の格差を知った8歳のとき。「解決しなければいけないというより、恵まれた状況にいる自分が何もしないのはおかしいと感じたんです」。同世代とともに社会課題の解決に向け議論を重ねる中でたどり着いたのが「世代間の意識の違い」でした。
活動を続けるうえで気を付けているのは、「『政治』を限定的にしないこと」だと明かします。「国会や議会で行われていることだけが『政治』だととらえると、とたんにハードルが高くなる。でも、『世代、性差、職業、住んでいる地域などの垣根を越えて世の中のあり方について向き合うこと』だと考えると、10代の私たちにもできることがたくさんあります」
「どうせ変わらないよ」という悲しい声に向き合うこともあります。でも「本当は選挙も、自分たちの声で世の中を変えることができる、すごくワクワクする制度。活動をはじめるきっかけは不満でも、続けていけるのはそこに希望を感じているから。これから若者はマイノリティーになっていくかもしれないけれど、年上の人と対立するのではなく、協力していくのがあたり前になってほしい。若い人たちからどんどんアクションを起こして、小さな成功体験を積み上げていけば社会は変えられると思います」
川﨑さんが思い描く2040年では、あらゆる世代が世の中のあり方について考え、行動しています。多様な意見が共存する社会こそがそれぞれの生きやすさや価値の広がりにつながるからです。
「小学生も役所に気軽に出入りできて、みんなが参加できる青空議会で、くらしを良くするアイデアを提案し採用される……。世代に関係なく、それぞれのタイミングでチャレンジできる世の中だといいな。私も、自分の好きなことを貫いてそれが人のためになっている、かっこいい大人になっていたいです」
川﨑レナ
KAWASAKI Rena- 2005年、大阪府生まれ。関西学院大阪インターナショナルスクール12年生。国際NPO「アース・ガーディアンズ」の日本支部代表。環境や人権の問題に取り組み、若者と地域の政治家が気軽に意見交換できる「政治家と話してみようの会」を開催。バイオテクノロジー企業ユーグレナのCFO(最高未来責任者)や、社会課題に取り組む10代の宿泊型サミット「U18サミット」(23年3月開催)の代表を務めた。