未来空想新聞

2040年(令和22年)5月5日(土)

未来空想新聞

2040年(令和22年)5月5日(土)

奇跡の高専、1,000人が「起業」

15歳で学んだ「多様な選択肢」が開花

山川咲

 4月に開校したばかりの「神山まるごと高専」の創設メンバーである山川咲さん。「私が生きているうちにはたどり着けないぐらい面白い学校になると思った」と創設に携わった理由を明かします。

 同校では「モノをつくる力」と、起業家精神を養う「社会と関わる力」を身につけるカリキュラムを用意。「全国の15歳に、偏差値や学区などで選ぶ高校以外にも、起業を含めいろいろな選択肢があることを知ってほしい。一番大事なのは、自分で選んで自分で決めて生きていくこと」

 実は「中学時代は真っ暗闇だった」と言う山川さんは、自身の結婚式を通じて「初めて人生を肯定できた」そう。28歳でウェディングブランド「CRAZY WEDDING」を起業し「人生全部ぶつけて生きていくことをはじめた」。これまで多様であること、偏りがあることが許されなかったけれど、これからは多様性が求められる時代。だからこそ同校の教育環境については「自分の偏っているところが最高じゃんと思える場所にしたい。偏りのあるピカピカの才能を持った子どもたちが集まってくれているので、私たちはどこまでも伸びていいよと青天井のサポートをするだけでいいと思っています」と言う。「みんなと一緒であることよりも、自分にしかないものを強く信じられるかどうかが大事。いろいろな境遇の子たちがいて、いろいろなことを教え合う。そんな機会を提供したい」

徳島県神山町の神山まるごと高専の校舎

徳島県神山町の神山まるごと高専の校舎

 求められる人物像も変化するであろう2040年。「(技術進化で)AIに取って代わる部分も多いでしょうけど、個人的にはフィジカルで、生っぽいものは残ると思うんです。だからこそ根源的なものや感性を自然の中で育むこと。知識面よりも、自分がやる理由や熱量を養う必要があると思います。自分の強い信念は、社会の常識を超えるときがあるし、その自分の信念を持てる人こそ、何かを生み出し続ける人だと思う」。夢は「私は常に未知の人生を冒険していきたい。だから2040年も、これだと思ったことに挑戦し続けられる人生を歩んでいきたいな」。

山川咲
YAMAKAWA Saki

1983年、東京生まれ。2012年にウェディングブランド「CRAZY WEDDING」を立ち上げ。その後、産休・育休を経てIWAI OMOTESANDOの立ち上げに携わる。20年にCRAZYから独立。8カ月の長期休暇を経て、ホテル&レジデンスブランドSANUへ。21年1月には神山まるごと高専に参画。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)。

子どもたちへのメッセージ

失敗を重ねていく先にしか未来はつくられない。いろいろな失敗をして、広い世界を楽しんで。